◆本プロジェクトの実施環境 |
V. プロジェクトの実施環境
本研究は、産学共同研究の一環として実施する。すなわち、兵庫教育大学、兵庫県教育研修所、地場産業の勝美システムズ株式会社である。いずれの機関もこれまで、さまざまな外部資金を獲得し、先駆的な教育実践事例を紹介してきた。教材開発環境や教員研修、教室での活用実験などあらゆる面において、指導的な役割を果たしており、プロジェクトの推進に十分な人的、物的資源が揃っている。また、実験協力校は、ICT活用において先進的な取り組みをしており、本プロジェクトにおけるタブレットPCを活用する指導実践において重要な役割を果たすことが期待されている。
V. プロジェクトの実施体制
V-1. プロジェクトメンバー
紙面の都合で、本研究における主要なメンバーだけを紹介する。読字障害と書字障害のこどもの学習履歴の保存、教材の製作、配信を担当するのは、兵庫教育大学の共同研究者である勝美システムズ株式会社である。勝美システムズは本学と3年に渡り遠隔教育及び教材開発の共同研究を行い、国際協力事業機構(JICA)の公募である海外向け教材を2002年及び2003年の複数年に採択されてビデオ教材を提供してきた。特に開発途上国における障害の予防、早期発見、早期対応等に関する関係者への指導研修プログラムを開発した。また、インターネットを活用した電子教材を自治体や学校向けなどに企画開発してきた実績が多数ある。
タブレットPCで読字と書字の基礎的な力を培う指導方法を分析するのは、成田 滋、岡本育夫、西谷淳、田中敦夫である。この4名は教材作成の仕様作成も担当する。成田は、これまで障害者とコンピュータ利用教育研究会を主宰し、パソコンバンク、日本支援教育実践学会の事務局長などをしている。障害児教育の学校や教室、家庭で使える自作教材製作プロジェクトを推進してきた。
岡本は、県立教育研修所の主任指導主事として、教員のIT活用の分野で研修の企画、実施、評価に携わっている。これまで兵庫県の西播磨地区において、ネットデイの推進に先導的な役割を果たしてきた。また、USB活用のモバイル学習環境の設計、体育活動における動画利用のデータベース活用の推進などの実績を有する
西谷は、文部科学省が2004年1月に発表した「LD,ADHD,高機能自閉症ガイドライン(試案)」の策定メンバーである。また平成13年度から15年度まで独立行政法人国立特殊教育総合研究所の情報教育研究部の研究協力者として「高度情報化社会における障害のある子どもの情報活用能力を育成する教育内容・方法に関する研究」に関わった。また文部科学省の特別支援教育推進事業における滋賀県LD専門家チームのメンバーに平成16年度から加わっている。
田中は、かずかずの自作教材を製作し、インターネットで自作品を広く全国に公開普及している。「ネット教室あおぞら」は、障害児教育用の教材提供ホームページで、「文部科学省生涯学習政策局製作の教育用ソフトコンテンツ紹介」ホームページでも取り上げられ紹介されている。また、独立行政法人国立特殊教育総合研究所や学習ソフトウェア情報研究センター主催のソフトウェアコンクールに受賞した経歴も持つ。
V-2. プロジェクト体制
(1) プロジェクトメンバー
○研究総括、指導法・教材開発仕様
成田 滋 兵庫教育大学学校教育研究センター教授/日本支援教育実践学会
事務局長/障害者とコンピュータ利用教育研究会会長
岡本育夫 兵庫県教育委員会 兵庫県立教育研修所情報教育研修課
主任指導主事
西谷 淳 滋賀県甲西町立三雲小学校教諭(研究指定校)
田中敦夫 神戸市立東舞子小学校教諭(研究指定校)
○教材開発
三原義男 勝美氏テムズ株式会社ソフトウエア開発部長
○指導法実践と研修担当
西谷 淳 同上
田中敦夫 同上
橋本泰一 兵庫県三木市立養護学校教諭(研究指定校)
藤本久美子 兵庫県加西市立養護学校教諭(研究指定校)
末廣てるの 兵庫県社町立社小学校教諭(研究指定校)
○指導法検証
常陰則之 兵庫県教育委員会 兵庫県立教育研修所情報教育研修課長
吉川芳則 兵庫県教育委員会事務局教育企画室指導主事
西谷 淳 同上
田中敦夫 同上
橋本泰一 同上
藤本久美子 同上
新居啓司 兵庫県立宝塚養護学校教諭
(2) プロジェクト体制
本プロジェクトの体制は、企業、大学、教育委員会、小学校学校の特殊学級、養護学校から成る。読字障害と書字障害の子ども用教材開発については、企業と大学は教材の設計や仕様の策定、企業はプロトタイプ教材のコーディング化と技術的なノウハウ提供、教育委員会は教材の応用と実践への技術的な助言、学校は実験に参加する生徒への後方支援とプロトタイプ教材の改善点の提供を担う。
|
|