◆指導案 |
IV. 読字障害と書字障害へのタブレットPC利用の指導案
IV-1 読字障害と書字障害になぜタブレットPCを使った指導方法が必要なのか
読字障害と書字障害は別のものではなく,併せ持っている子どもが多い。その原因にはいくつかのタイプがあり,ことばを一つ一つの音に分けられない音韻操作の困難さ,音の聞き分けの困難さ,音と文字の形が結びつけられない聴覚的記憶の困難さ,文字の形が覚えられない視覚的記憶の困難さ,あるいは眼球運動の困難さ,目と手の協応や協調運動の困難さ等があると指摘されている(竹田契一,2000)。このような子どもたちの指導には一人ひとりの認知の特性をアセスメントし,適切な指導方法を工夫することが何より大切である。そこで,子どもの興味を引き出しながら,音,画像,テキストが自由に扱えるコンピュータを活用することで,その子どもの得意な認知能力を活用して学習効果を高めるような指導をしたり,その子どもの持つ困難さを軽減したりすることができると考えられる。
タブレットPCを使う利点は次の点である。
1) ペン入力が可能で,マウスやキー入力よりも一般的な書字に近い感覚がある。
2) 紙に鉛筆でかく学習に比べて,インタラクティブな反応があり子どもの興味が高い。
3) 筆跡,筆順がペンの動きも含めて記録に残すことができ,以前の学習記録との比較が容易である。そのため,書字の向上を自身が体感でき自信につながる。
4) アセスメントから指導までの一連の流れをパッケージ化して提供できる。
IV-2 書字の基礎的な力を培う指導方法
書字障害を示す子どもに対して、次のような指導方法の在り方をタブレットPCによって検討する。
・ 協調運動(点つなぎ課題,迷路課題,線なぞり課題,ぬりえ課題) での指導
・ 視知覚操作 (図と地の弁別課題,選択抹消課題、模写) での指導
・ ひらかなの書字練習での指導
・ 小学校漢字の書字練習での指導
IV-3 学習履歴の記録方法
・USBメモリーまたは本体内蔵ハードディスクに個人の学習履歴を記録し,子どもが予習や復習の場面で自らがそれまでの学習進度や習熟度を確認できるようにする。
IV-4 指導と学習成果の評価方法
指導する教師や保護者、そして生徒が自らの学習履歴を確認し、それを評価して学習の改善につなげるようなシステムを作る。このシステムは、研究指定校で試行し、教員の評価能力の向上につなげる。生徒自身の自己評価のためのインターフェイスの改善に努める。
IV-5 作成を予定している教材
・点つなぎ,迷路,線なぞり,ぬりえ,図と地の弁別,選択抹消,模写
・ひらかな,カタカナ練習プログラム
・小学校下学年漢字の書字練習プログラム
IV-6 成果目標
1) 特別支援教育や軽度発達障害に関わる人に対して,新しいトレーニングプログラムの開発の啓発となる。
2) 書字に困難さがある子どもに対して指導するための教材を,実際に使えるソフトウエアとして提供できる
3) 今後全国で設置される特別支援教室での軽度発達障害の子どもの指導に貢献できる。
4) 子どもが感じる読み書きの苦手意識を軽減し,学習に興味を持たせることができる。
IV-7 成果の普及方策
Eスクエア・アドバンス成果発表会
Council for Exceptional Children(CEC)の学会で発表
教育情報ナショナルセンター
情報通信白書for Kids
Webページでの案内・ダウンロードと質問受付機能の付加 |
|